東京高等裁判所 昭和56年(ツ)55号 判決
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【判旨】
原審が確定したところによれば、本件土地は、一三七六番七の土地の一部であるところ、一三七六番七の土地は、もと圓福寺の所有に属していたが、昭和二二年一二月二日自作農創設特別措置法(以下「自創法」という。)三条によつて政府が買収し、国がその所有権を取得し、その後昭和三一年三月二〇日農地法三六条によつて上告人の先代谷口吉蔵に売り渡されたというのであり、右事実によれば、一三七六番七の土地は、買収から売渡しまでの間、国有財産として管理すべきものであつたことは明らかである(昭和二二年政令三六号による削除前の自創法施行令三四条、昭和二二年法律二四一号による改正後の自創法四六条一項、農地法七八条一項参照)。しかし、このように自創法三条に基づいて買収され、国が管理すべき農地は、自作農創設の目的に供されるものであるとはいえ、その性質上いわゆる公物には該当せず、取得時効の対象となりうるものと解するのが相当である。それ故、被上告人が昭和二二年一二月二日以降、一三七六番七の土地が国の管理下にあつた前叙期間を含めて二〇年間に亘り、右土地の一部である本件土地の占有を継続した事実に基づき、被上告人が本件土地の所有権を時効取得したものとした原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は、一三七六番七の土地が売り渡されるまで公物であつたとの前提に立つて原判決の法令違背をいうものであり、採用することができない。
(渡部吉隆 蕪山厳 浅香恒久)